サスペンス系
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親切なクムジャさん
...2008/02/09(Sat)18:50[修正・削除]
★ 2005年/韓国、監督/脚本/パク・チャヌク、脚本/チョン・ソギョン、音楽/チョ・ヨンウク、出演/イ・ヨンエ(クムジャ)、チェ・ミンシク(パク先生)、クォン・イェヨン(クムジャの娘ジェニー)、キム・ビョンオク(伝道師)、コ・スヒ(女囚房の牢名主"魔女")、ソン・ガンホ/シン・ハギュン(誘拐犯)、ユ・ジテ(青年ウォンモ)、他

ニュース映像に映る少年ウォンモを誘拐し殺害した犯人は息を呑むような美貌の女性、その名はクムジャ。だが彼女は現場検証に引き出され衆目に晒される中、男が笑うのを見る。女子高生の教師で教え子だった彼女と関係し生まれた子を盾に彼女に少年誘拐を強要した男。彼にとって小児はただいたぶり殺すためだけの玩具に過ぎないのだ。
模範囚で刑期を終えた彼女を迎えたのは収監中彼女が世話を焼いた囚人仲間で、中でも女詐欺師を生業としていた1人がペクの女房となっている事をペクは知らない。

ミンシクは「オールドボーイ」でも犬になり(「私は犬にも劣る人間ですが」)、「親切なクムジャさん」でも犬の姿でクムジャに銃殺されていた(木枠に括られクムジャに尻尾を振って見せるがどアタマを打ち抜かれ肛門から血と内臓を撒き散らして)。ダニー犬はに比べミンシク犬はあまりに老獪で汚く浅ましく憐れ過ぎた。ダニーは「ヤクザに鷹揚に育てられた雑種」だと思っていたが檻とはいえ室内飼いでもしプールでミンシク犬と闘ったら絶対気迫で負けると思う。

復讐に燃える女クムジャは「チャングムの誓い」のチャングム。清楚で美しい顔に赤いアイシャドウとセンスのいい服と美しい銀細工施された銃でペクに復讐していくわけだが、オ・デスの災難と同じくらい長い13年の禁固生活の中で地獄を見、勝ち上がり、囚人達を味方につけて、肉を踏み骨も砕けよとばかりに徹底的に復讐し尽くしていく。まるで復讐そのものが彼女の生きがいであるかのように。

収監生活を終え、初めてその地獄に自分をはめた仇敵ペクをその手に捕らえた瞬間、昏睡している彼の髪をざくざく台所はさみで切り刻む。ういぃぃとか低くうめきながら。
それを椅子に縛り付けて、初めて二人が出会った既に廃校となった山間の校舎の教室で処刑しようとするができない。その銀細工の施された銃の銃口をペクの額に当て、撃とうとするが撃てない。どうしても撃てない。考えあぐね轡を外して彼の言葉を聞くんだな。

ペクはそんな彼女を見て憎憎しげに唾を吐き、下からねめあげ言う。「なあクムジャぁ何でそんなアイシャドウにしちまったんだ?」クムジャはそんなペクに今一度轡を噛ませ椅子に縛り付けたままハイヒールでどかどか蹴りネクタイで首を締めぼっこぼこにいたぶるんだけどそれでも気がすまない。このへんで初めて迷いはけして彼をいとおしんでいるためじゃないと気づかされる。憎んでも憎み切れない、どうすればこの男に死以上の苦痛を与えられるか、腐りきったその魂を地獄の底に突き落とし更に踏みにじれるかと考えあぐねていたからなのだと。

私は、自分の不幸を社会悪のせいにしたこともないし(復讐者に憐れみを)「オールドボーイ」の人としての規範に反する罪というのもイマイチ実感できないが、クムジャのこの怒りなら、とてもよく解る気がする。相手の冷や汗が見えるくれぇ近くで撃たねぇと当たんねぇし、撃つと大砲みてぇな音がする銀細工の銃でというこだわりも。
チャングム信者の母に、ちょっと見せたい気もする「親切なクムジャさん」(笑)

オールド・ボーイ
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★ 2003年/韓国、監督/脚本/パク・チャヌク、原作/土屋ガロン作、峰岸信明画「オールド・ボーイ」(1997年/双葉社アクションコミックス)、脚本/ファン・ジョユン、イム・ジュンニョン、音楽/ナ・ウォンジュ、出演/チェ・ミンシク(オ・デス)、カン・へジョン(ミド)、ユ・ジテ(イ・ウジン)、キム・ビョンオク(ウジンの警護係ハン)、他

中年太りしたどうしようもないへべれけオヤジオ・デスが交番でくだをまくシーンから始まる。ようやく友人らしき男が引き取りに現れ電話をかけに外出るがデスがいたはずがふと振り向くといなくなっている。
デスは、それから延々13年もの間、理由も知らされず、誰とも会えず、着替えと清拭と散髪の時には催眠ガスで眠らされ、食事は決まった時間になると足元の小窓から差し入れられる餃子定食のみ、テレビ以外一切外の状況も知らされず、トイレ付きの8畳ほどの部屋に監禁される。

デスはテレビで自分が自分の妻子を惨殺した犯人にされたのを知り、それ以降長い間、韓国の歴史が自分に全く関係なく進んでいくのをただ漫然と眺めているだけだったが、ある日ふと思い立つ。これは何かの懲罰に違いない。だが自分はそれまでフツーに生きてきたただの中年オヤジで、けして立派ではないがこんなに長いこと収監されなければならないような重大犯罪を侵した覚えは全くない。デスはその日を堺に自分の一生を振り返り「反省記録」をつけ始める。

また食事のたびに付いて来る金属の箸で壁に穴を穿ち始める。壁はコンクリートとブロックでかなり頑丈だが他にやる事もないのでこつこつ掘って行くが、その作業も何度も催眠ガスで中断され、目覚めると体が少し小奇麗