私はランボーとヴェルレーヌのJUNE的な解説が好きではなかった。
ずっとずっと好きになれなかった。
真実はこうだとか、私はもっとディープに知っているとか、そんな事ではなかった。
『詩人』と言う生き方も理解できなかったし、いい年をした男が若い男に翻弄されるロマンティックな恋愛関係であったらしいという事が、どうしても美しいと思えなかったのだ。
以前に『ヴェニスに死す』に関しての事を書いたが、言うなればそういったもの全般、少女的なロマンティックな思いに駆り立てられた事はもちろんあったのだが、熱さが引いた後は、憧れは一種の熱病のようなものだと思えたし、地に足のつかない恋愛関係の与太話として、心の書庫の奥に仕舞い込んでしまったのだ。
今。見終わったばかりなのだが。
正直に言おう。私は少し泣いた。
誰にお勧めする気も無い。これは傑作だからと力説する気も無い。
これに関しては、シンクロ出来なければそれまでの映画でしかないかもしれない。出来の善し悪しではない様に思う。
ただ。
熱い地獄の季節が、私にもあった事を思い出した。
ヴェルレーヌの気持ちも解る。ランボーの気持ちも解る。
痛さと熱さは涙となった。
映画は、既に指輪のはまっていないヴェルレーヌの指にくちずけをするシーンで終わる。
最後に。
単なるレオさま映画でなかった事だけはこれを創った監督に感謝しておくとしよう。
END
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