えーと・・・やっぱり今日は帰ります(^^;

天神林さんの体験

「二度見」

(2007年3月26日)


一昨年の元旦、家族6人で親戚の家に集まって元旦祝いの宴会をやってたんですが、
11時頃にお開きになって、それぞれが帰りだした時のことです。

私たちは、近くのアパートにある大きめの駐車場においてある車に戻るため、兄弟4人で急な階段を上っていました。
全員が上ると、車の置いてある場所に走り出したんですが、すぐに後ろから女の人の声が聞こえたような気がして振り返ったんです。
この時姉や弟、妹も一緒になって振り返ったんです。

見ると、ガードレールの奥に小さい空き地があって、そこの木のそばに女の人が立ってたんです。

ぼやけててはっきりとは覚えてませんけど、木の枝の近くにぼんやりと立ってて、顔は見えませんでした。
あまり気にせず再び前を向いて歩き出したんですけど、ふともう一度全員が後ろを振り向いたんですが、
なぜかそこには女の人は居ませんでした。

無気味に思って、急いで車の中に入り、隣に座っていた姉に聞いてみました。

「ねぇ、さっき、女の人が居なかった?」
「え?何の話?」

一瞬、何かの冗談だと思って弟や妹にも聞いてみたんです。

「何って・・・さっき振り向いた時に居たじゃん。なんか・・・女の人がさ」
「俺知らんよ?」
「あたしも」

暫く誰も何も言えませんでした。

去年、同じ場所に行って気がついたんですけど、女の人が立っていたのは地上から2メートルは離れてました。
・・・多分、その時会ったのは霊だと思います。

あと、私の家にも誰かが居るみたいです。
たまに小さい足音が走っている音が聞こえるんです。
姉が言うには、多分男の子の霊じゃないかと言っていました。実際はどうかは分かりませんけど・・・


えーと・・・やっぱり今日は帰ります(^^;


まいるの体験

「遺影」

(2007年3月)


昨年、わけあって亡くなった家族数人分の葬式用の遺影を預かったんですよ。

母が嫁に来た時預かったという戦没親族の40年以上前の古い物から、20年以上前にリアル葬式に使用した遺影など、サイズもでかくて変色してるし、所々年代モノのシミが浮いてたり所々劣化して破けてたりするものばかりで、それをデジタル修正してという母の頼みでした。

数週間経って、ひょいっとそれが送られてきた時は、リアル葬式の祭壇に並んでるのと部屋に飾られたのしか見た事がないものだから、そのでかさと年季の入りようにさすがに少し怖いなと改めて思ったりもしたんですが、1日2日するうちにどうせ急ぐ話じゃないからと居間の資料の山(人はゴミタメという(笑))に積んで放置しちゃったんですよね。

・・・

いったいいつから始まったのか・・・。
平日の午前中イヤホンで音楽を聴きながらパソコンに向かっていると、部屋の奥側に何か気配がする。
ふぅっと後を横切ったり、またある時はかなり間近にいて、じっと私の手元を覗き込んでるような。

「ねぇ、なんか最近パソコンの部屋に何かいる気がするんだけど」
「あー、玄関脇だからねー、前にもいるとか言われたし、それじゃない?」
「いやーーー・・・なんか、違うんだよねー。もっとこう、平和的というか・・・お父さん、何か感じない?」
パソコン部屋は、亭主の寝室でもあるので聞いてみたんですが、「感じねぇ」と一言(笑)
極端な怖がりなので、返って通常は"オフにして"いる人なので、これもどうも当てにならない。

気配は至極普通なカンジで、気が散るから思わず家族にするようにしっしっ!と払ってしまったりもしたんですが、平日の午前中に誰かいるはずも無いわけで。

気づいてからというもの、気になる分感じる回数も右上がりに増えていったんです。
真南向きのベランダ側の窓から入る朝日が強すぎるような日に多く現れ、しかもそういう日は気配がどこかるんるんと楽しそうでもあったりして、逆に曇りや雨の日にはちょっとゾクッとするくらい気配も暗く重いのです。
それが1週間ほど経つ頃には、いないと逆に今日はどうしたのかなとすら思えるようになってしまって。

さすがに妙だと思ってここにも何度か投稿いただいてる方に相談してみると、それは明らかにモノの気配であると。
何か思い当たる事はないのかと聞かれ、ようやくあ!遺影だ!と思ったんですよ。

父は私が嫁に行く前に亡くなったので、遺影とはいえこの家に来たのは初めてなのです。

私の父と祖母、祖父を含めた彼らは多分、供養者である母の身から離された不安と、娘一家の住処を初めて訪ねた物珍しさからか、晴れた日の朝は「(旅行気分で)楽しげに」現れたのではないかと。
中でも生前から新し物好きだった父は、パソコンに向かう私の傍らからモニタを覗きこみ、ほほーへへぇと楽しんでいたのではないかと。
反面、雨や曇りの日や夜はどこか「憂鬱」で不満な感じだったのは、多分、母の元に早く帰りたかったんじゃないかと思えたのです。

さて、判ったからには作業も早々に済ませ、出来上がりと共に梱包して返送したんですが、本当にきれいさっぱり気配がなくなったのには、驚くというより呆れてしまいました(笑)
もともと子供っぽくて母に頼りきっている親父たちでしたから、まあそれもありかなと納得したんですが、
実は、それだけでは終わらなかったんです。

後日、母の家に訪ねた日の真夜中、さあもう寝ようかというまさにその時、トイレが詰まってしまった(笑)
その時点では、引っ越したばかりの母の家にトイレのぱこぱこが無い事も、某水道トラブル会社が来るのにさんざ迷って余分にかかってしまった事も単なる災難だと思ってたんですが、
問題は翌朝、室内で、本当にそよりとも風がなく周囲にぶつかるものもない仏壇の花瓶が、唐突にぼとりと落ちたんですよ(笑)

キッチンで話し込んでいた家族は、みな唖然として固まってしまって。
本当に体験者の皆さんから幾度も聞いているこう着状態(笑)

完璧、怒ってるな、しかも母の傍らに戻ったもんだから態度もでけーでけーと今ではすっかり笑い話に(笑)

昔っからそれを露ほども感じず、多分野生の勘でそう言った存在をシャットアウトしている母にも何度も驚かされているので、その話はまた次の機会に。


えーと・・・やっぱり今日は帰ります(^^;


Tさんの体験

「見える人」

(2007年10月末)


以前にも何度かご登場戴いたTさんの話。

「霊感体質」「家鳴り」にもあったように、彼女の住む団地は古いマンモス団地で、そのためか時おり異質なモノが目撃されたりもする。
彼女の友人のご子息もまたよくそれを「見かける」1人である。

既に社会人である彼がまだ学生だった頃、早朝の新聞配達は彼の日課だった。
まだ明けやらぬ早朝、配達のためTさんの「霊感体質」に登場した件の集会所が見える公園広場に差し掛かったころ、幼い子供が走り廻る姿を見かけた。
周囲はまだ漆黒の闇に包まれているのになぜかその子の姿は鮮明で、彼は「ああ、夜中にあまりにぐずるので、多分近くに親がいて、遊ばせているんだな」と思い、そのまま配達に戻った。

だが、何棟かを配り終え再びその公園に戻った時、まだその子は走り続けている。
3、4歳の幼いその子は、公園の中をぐるぐるぐるぐる走り回り、見る間にかなりのスピードになった。

周囲はまだ暗いまま、なのにその子は相変わらず鮮明で、見渡しても親の姿はどこにもない。
そこで彼は初めて変だと思い、ああ、そういうコトかと思ったそうだ。


また、その団地の脇には津波などの緩和のために設けられた用水路がある。
両岸を丈夫なコンクリートで固められ、小魚や時には水鳥なども飛来し水質もけして悪くはないが、目的が災害防止用のため、普通の河川とは違い入口が湾で街中に設置された防波用の堰で行き止まりとなっている。

その用水路に沿って道路が走っているのだが、やはりそこはそれ橋は車用のものが数本とあとは自転車すらすれ違うのに難儀するほど極めて小規模のものが数本あるだけで、近所の住人は向こう岸に渡るためにはそれなりの迂回路を通らねばならない構造になっている。

社会人となった彼が、深夜、車の免許を取ったばかりの妹の運転で、その練習に付き合う事となり、用水路沿いを走っていた時のこと。
道の先、行き止まりで左カーブのL字路に差し掛かったところで、目的地までは初心者では危ないからと運転を交替したが、それまで弾んでいた話が急に静かになった。

3駅離れた目的地に着いた時、彼は妹に聞いた。
「なぁ、さっきの用水路脇のL字路に、誰か立ってただろ?」
「え?・・・別に気づかなかったけど」
「いや、黒い服着た女が、こんなふうに・・・」

そこまで話して彼自身がはっと気づいた。
時間は深夜、そのL字路はもともと街灯が少なく暗いし、その脇は漆黒に落ち込んだ用水路、道路の行き止まりは民家で当然寝静まっている時間である。
その角に女が、しかも黒い服など見えようはずもない。


また、受験生の頃、彼が通っていた塾での話。

塾とは言っても今で言う受験用のシステム化されたものとは違い、心得のあるご主人が近所の知り合いの子供を自宅に数人寄せて皆で受験対策をしようという寺子屋のようなもので、ご主人が先生となり奥さんがその手助けをするという大変アットホームなものだったそうだ。

そのおかげか彼も無事入学を果たした数年後、そのご主人が不幸にも突然病気で亡くなられたお葬式の日。

その縁者親戚をはじめとして、かつての教え子や近隣に住む大勢の方に惜しまれる中、通夜が粛々と執り行なわれ、明日の葬式の備え、近くにホテルを取っている親戚を、その奥さんが車で送り行く事となった帰り道、件の用水路脇の道路に路上駐車していた大型トラックに正面から激突、車は大破し、彼女は病院に搬送されたが治療の甲斐なく亡くなられたというのだ。事故は片方が止まっていたにも関わらずかなりの大事故で、遺体は特に顔面の損傷が酷かったのだそうだ。

翌日執り行なわれた葬式には奇しくも遺影が2つとなった。

数ヵ月後のやはり深夜、再び新聞配達を再開していた彼が、新聞を積んで、用水路沿いの道路を自転車で走っていると白い着物を着た中年の女性が、道路に突っ伏して必死で何かを探している。

おや、こんな時間になにか失し物でもしたんだな、大変だなと思いながらも、彼も配達があるので立ち止まって手助けしてやれる時間もない。

棟から棟に配達が進み、その都度その道路を通るたびご婦人の白い着物が見える。
背中を丸め、地べたに張り付き、道路に顔を付けるようにして、そこら中を手の平ではたはたと叩いている。
声もない、車もない、だがそのご婦人の着物だけが白く、深夜にも関わらず鮮明に浮き上がって見える。

何度目かにその姿を見かけたとき、初めて合点が行ったそうだ。

ご婦人は無くしたもう片方の眼球を探しておられるのだと。

・・・ 見ても初めは気づかないのよねぇ、あまりに普通だから、とTさん。
顔は見たのかなぁと茶飲みメンバー3人が同時に言いかけて、言葉を呑んだ。
「見なくてよかったわよねぇ・・・」
まったくもってクワバラクワバラである。


えーと・・・やっぱり今日は帰ります(^^;


この際だから私の恐い体験も語ったろかーという方はこちら

第2集の扉に戻ります

   第1集を見てみる

夜話会に戻ります

   夜会大扉に戻る